| 「今まで乗った中で何が良かったですか?」 最近たまに聞かれる様になりました。ミニカー屋のおやじだからクルマ好きに決まってると思ってるんでしょうが、試乗は数知れど所有となれば片手で止まる。その昔、東京で広告の仕事をしてた頃は何でも集まって来たから試乗には事欠かなかった。でも、さすがにその質問には10分試乗したクルマの話は出来ない。生活感が無いからだ。気がつくと毎回ホンダ1300の話をしてしまう。フィリプス君、水はいらないのかね? の1300である。本田宗一郎が空冷にこだわり、技術陣の意見を聞き入れる事無く押しとうしてしまった、いわく付きのクルマである。エンジンはドライサンプ強制空冷横置き4気筒にCV2連キャブと4連キャブの2種類。リヤサスペンションはリーフスプリング式の独立懸架(クロスビームサスペンション)と他に類を見ない型式のおんパレードであった。このクルマと付合い始めたのは学生の頃だから、30年前にさかのぼる。当時FF車も少なかった。夏は都内の信号待ちでオーバーヒートでエンスト。2人で路肩に押して15分間エンジンをうちわで扇いで冷却とその繰り返しで、水が必要なのは人間の方だった。しかしながら高速に上がれば向かう所敵なし、時速120Kmでエンジンサウンドがレーシーに変身すれば一気に???Kmこれを快感と言わずして何と言う〜状態。この一点の快楽の為に生まれたクルマと言って過言では無かった。燃費も凄まじかったが、恐ろしいのはコーナーでリヤサスのイン側がリフトして急に曲がらなくなる事とフロントブレーキからコ〜〜ンという共鳴音が出たらヒートして止まらなくなる事であったが、何度か危ない目に遭えばこちらの物!
最近自動車が楽しいってどういう事なのか考える時、決まってホンダ1300 77を思い出してしまう。
| |